· 

サービス業としての学び

先日とある銀行での話。

事前にお預かりしていた書類を「営業のAさんにお渡しください」と受付の方に差し出したのですが、「少々お待ちください」との保留回答。

Aさんが不在なのはわかっていたので「お渡し頂くだけで結構なのですが」と再度書類を手渡そうとすると困った様子・・・。

どうやら受付の方は書類を預かる権限が無いようで、奥にいる行員に声を掛けようとしています。

しかし昼時で人も少なく在席者が丁度電話中だったため、結果的には書類を渡すのに数分待たされました。

後に電話が終わった行員の方には気持ちの良い応対していただき事無きを得たかに思われましたが、銀行を後にして5分後に携帯電話が鳴りました。「やはり預かり証をお渡ししなければならないのですが・・・」。

30分後に銀行に戻りました。

応対時に「預かり証を発行します」と言われたのですが、「Aさんが戻ったら渡してもらうだけで結構ですし、信頼してますからそんな堅苦しいものはいらないですよ」と言ってしまった私のミステイク?が、どうやら応対してくれた行員さんに迷惑をかけてしまったようです。

 

私は様々な企業の方と接する際に『サービス業としてのベストの応対』とは何だろうかと頭を巡らします。

今回もいくつかの問題点が浮かび上がってきます。

①書類を手渡すだけでかなり時間がかかった(客を待たせないことにフォーカスしていない)こと、②顧客視点で考えると、接客最前線である受付の方の裁量の範囲が少ないと感じられること、③「信頼しているのだから書面に残すほどの事ではない」との私の判断が銀行のルールで簡単に覆されたこと。

もちろん銀行ではたくさんの顧客の資産を管理しているため、どこよりも慎重にならざるを得ないし、性悪説で仕組みを組み立てるのは理解できます。

しかしながら、長年の信頼よりも企業の危機回避が優先してしまい、少しガッカリしたのは事実です。私そんなに危険じゃないですし(笑)。

 

もう一つ別のエピソード。

数年前某大手家電量販店にデジカメを買いに行った時のことです。

売場で品定めをしていると店員さんが笑顔で近づいてきました。

「とてもいい商品がありますよ」と特定のメーカー商品を熱心に勧めます。ひと通り説明が終わった後に私が「機能にはあまりこだわらないので、デザインが気に入っている別のメーカーのものを買おうと思ってます」と告げると、なんとプイっと後ろを向いて去って行ってしまいました。これにはびっくり。

売場で取り残された私は自分で商品を持ちレジに向かいました。

どうやら某メーカーから量販店売場に派遣されたメーカー社員だったようです。

首から下げたストラップにそのメーカー名のロゴが大きく入っていたので、実は早い段階で気付いていました。

文句をいうのは大人げないので気を遣いながら「残念なことに、こんなことがあったんですよ~」とレジの女性に告げると「すみません。あの人、たまにあるんです・・・」に二度びっくり。

量販店の責任者も派遣メーカーの上司も知らないんでしょうね。

どれだけお金をかけて集客しても、どんどん顧客の気持ちが離れていく状況が放置されていることを。

 

企業の目的は『顧客に気持ちよく永く取引を継続していただくこと』が一番であるべきで『目先の小さなリスクを全て潰すこと』や『その場での注力商品を売り切ること』よりも優先順位が高くなければなりませんし、『信頼』という土台に上にサービスを構築していくことこそが重要です。

私自身偉そうなことを言える立場ではありませんが、弊社が目指す理想と現実のギャップを自省しながらも、お客様のお役に立ち、選んでいただける会社を目指そうと改めて心に誓った実りある1日でした。

(柳浦)