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米機密文書の公開から学ぶこと

 1963年11月22日のジョン・F・ケネディ米大統領暗殺から今月でちょうど54年。

当初は2039年まで(75年もの間)非公開とされていたケネディ暗殺関連の機密文書の公開を許可すると、トランプ大統領が10月21日ツイッターで発表しました。

世界を駆け巡る大ニュースに…と興味津々で公開日(日本時間で27日)を心待ちにしていたら、結果は「全面公開は先送り」。

一部の資料はさらに180日間をかけて内容を審査後、改めて公開の可否を決めるとされたようです。

公開できないんですね。

54年前の事件でも今なお機密扱いにせねばならない程の“闇”の深さを感じました。

真実はいかに。

 

昨晩、久しぶりに社会派の巨匠オリバー・ストーン監督の『JFK』をじっくり観ました。

ケネディ暗殺のオズワルド単独犯行説に大いに疑問を抱き、真実解明のために捜査に心血を注いだジム・ギャリソン検事をケビン・コスナーが熱演した実話に基づく大作です。

軍需産業の肥大化が国民の自由を脅かす危険性へ警鐘を鳴らしたアイゼンハワー大統領(ケネディの前任)のスピーチから始まるこの作品は、キューバ危機、公民権運動、ベトナム戦争などの背景をしっかりと意識させながら、捜査のプロセスで幾つもの疑問を共有させ、ラストの感動の法廷シーンに突入します。

秋の夜長に20世紀最大のミステリーといわれるケネディ暗殺事件に迫るこの映画、超オススメです。

  

アメリカの機密文書が長い時を経て公開されることによって、自分が学校で習ってきた歴史や自分の中の常識が簡単にひっくり返ることがあります。

例えば大日本帝国のハワイへの真珠湾攻撃。

長い間、宣戦布告もしない騙し討ちで日本人は卑怯な戦争を仕掛けたと教えられてきました。

ところが1990年代後半の米機密文書の一部公開により、この事実とされていた情報が覆ります。

実は日本側のほぼ全ての暗号はすでに約半年前の4月に全て米国に解読されており、当時のルーズベルト大統領は日本の動きを全て知っていたこと。

第一次大戦以降の厭戦ムードの中で不戦の公約を掲げて当選したルーズベルトは、ハワイ奇襲の情報を事前に知っていたにもかかわらず、太平洋艦隊には一切知らせず見殺しにし、騙し討ちにあったと国民に喧伝し、一挙にヨーロッパ戦線を含む第二次大戦への参戦に面舵を切ったこと等など。

当時の太平洋艦隊司令長官キンメル大将と陸軍司令長官ショート中将は引責で降格。

後に「米政府によってスケープゴートにされた」ことが明らかとなり、2000年には上院下院ともに名誉回復が可決されたのですが大統領が署名を拒否し、不幸なことに現在も公式には名誉回復がなされていません。

彼らのご遺族はこの不幸にも捻じ曲げられた歴史に終止符が打てずに今も闘い続けていますが、私たち日本人は戦後植え付けられた自虐史観からそろそろ脱する時期に来ています。

 

私たちが日頃共有している常識と「真実」との間には時に大きな乖離があることを「機密文書の公開」は教えてくれます。

映画も同様で、エンタメ要素はもちろんですが、時に真実を伝えるためのきっかけ、触媒、隠れ蓑となって私たちにアクセスを試みます。

これが映画を観ることのひとつの楽しさであり意義ともいえます。

氾濫している星の数ほどの情報の中から「真実」をしっかりと見抜く目を養いたいものですね。